資料2つ、両方読みました。結論から言うと、もらっている数字が事実なら、採用マーケは「有効かどうか」の段階ではなく、やらない理由がないです。ただ、GPTの整理は施策のカタログとしてはよくできている一方、このままやると「施策は正しいのに成果が出ない順番」になります。順番と、GPT案に抜けている変数を中心に、僕ならこう組み立てるという形で返します。
月1億円÷月20名=1名あたり平均500万円です。もしエージェント費率が本当に全件120%なら、逆算すると平均年収417万円になり、ITコンサルの年収実態と合いません。おそらく「120%」は年収1,500万円のケースの最高値で、全体の構造は別です。考えられるのは、(a)1億円にエージェントフィー以外(媒体費・RPO・採用部門人件費)が含まれている、(b)ハイクラスだけサーチ型リテイナーを使っていて単価が跳ねている、(c)月20名のKPIを満たすために量優先で高料率エージェントにも発注している、のどれかか複合です。どれかによって削減レバーが全く変わるので、最初の仕事はこの1億円の分解です。
月20名=年240名は、社員225名の会社の採用数として、成長分なのか離職補充分なのかで意味が変わります。コンサル業界の年間離職率は15〜20%が相場なので、その水準でも年35〜45名は補充に消える計算です。もし離職がそれ以上なら、穴の空いたバケツに水を注いでいる構造で、採用マーケより先に定着側(まさに山口さんの領域)の方がROIが高い。ここは採用マーケの提案をする側として、先に正直に言っておくべき点です。
「カルチャー不適合が多数流入」は、選考精度の問題ではなく入口の問題です。Work Sampleや構造化面接をここまで実装して、それでも流入が止まらないのは、フィルターではなく蛇口の問題だからです。エージェント経由の候補者は構造的に「年収と知名度」で比較して来ます。採用マーケの本当の価値は応募数より、最初からプテロンの思想に共鳴した人だけが入ってくる入口を作ることです。
正しい点:ターゲット4層の切り方、エージェントを主戦場にしない判断、ポジショニングの方向性。ここは同意です。
BizReach・LinkedInが優先度Aになっていますが、受け皿のない状態でスカウトを送っても返信率は上がりません。BizReachのスカウト返信率は公開調査ベースで平均5〜6%、エンジニア系は2〜3%です。返信率を決めるのは文面の上手さより、スカウトを受けた候補者が会社を調べた時に何が出てくるかです。
その「何が出てくるか」を、実際に候補者目線で調べてみました。
会社として掲げる旗(採用コンセプト)は1本に絞ります。5本並べた瞬間に全部が平均化して埋もれるからです。主戦場はA層(SIer・SESのPM/PL・上流SE)×「技術者の次のキャリア」。ただし運用は別レイヤーで、スカウト文面と面談の入り方はA層・C層・D層で出し分けます。だから文面3種が必要になります。コーチングや経営参加は旗ではなく、面談とコンテンツの中で効かせる補強材です。
1億円の内訳、チャネル別の採用数、応募→面談→内定→承諾の転換率、離職率、OpenWork・転職会議の全件精読、競合との年収比較。ここで「月5,000万円をどこから取るか」の優先順位が決まります。一番地味で、一番効く工程です。
「技術者の次のキャリア」は方向として正しいですが、このままだとノースサンドにも言えてしまう言葉です。プテロン固有の事実(ボード会・プロコーチ・カレッジ)と接続した、競合が言えない一文まで磨く必要があります。その言葉は会議室ではなく、活躍している社員のインタビューから拾います。制作順は、採用ピッチ資料→採用LP→社員インタビュー2〜3本→スカウト文面3種。ピッチ資料を最初にするのは、今動いているカジュアル面談の承諾率に最速で効くからです。先ほどの「ぼんやりとした回答しか返ってこなかった」という声は、まさにこの面談の場で起きています。
なお、Phase 0〜1の間も手は止めません。小ロット(週50通程度)のスカウトテストを並行して、返信率・辞退理由・刺さる文面を先に学習し、受け皿に反映します。受け皿の完成待ちで機会損失しないための設計です。
BizReach・LinkedInのスカウト本格運用とリファラルの構造化。同時に、エージェント側の再設計(高料率の整理・推薦基準の明確化・主要エージェントの専任化と料率交渉)に着手します。後述しますが、月5,000万円の削減はスカウト置換だけでは作れず、このエージェント側のレバーとの合わせ技です。1つ注意があり、自社採用の強化をエージェントが察知すると紹介を絞られるリスクがあります。「切る」のではなく「整理して関係を再構築する」交渉設計が必要です。
受け皿が整った状態で、スカウト月800〜1,000通×返信率5〜6%×面談化50%で月20〜30件のカジュアル面談。そこからの採用は、立ち上げ期は月1〜2名、訴求と運用が噛み合ってきて月2〜4名が現実ラインです。月20名の全置き換えは無理です。半年かけて月3〜5名を直接採用に置き換えると、1名あたり平均500万円の現状コストに対して月1,500〜2,500万円規模の削減になり、外部支援と運用のコストを大きく上回ります。
ただし正直に言うと、「エージェント依存50%削減=月5,000万円」はスカウト置換だけでは届きません。月10名分に相当するからです。スカウト置換とエージェント再設計(料率・発注先の整理・推薦基準)の二本立てで取りに行くのが現実的な絵です。
体制面の注意も2つあります。スカウト月1,000通は片手間では送れないので、社内に専任を置くか、運用ごと外に出すかは体制設計の論点です。もう1つ、月20〜30件のカジュアル面談は現場コンサルの面接工数を相当食います。デリバリーへの影響と、疲弊による見極め精度の低下は、採用マーケが成功した後に一番起きやすいボトルネックなので、面談担当の設計までセットで考える必要があります。
| 質問 | 回答 |
|---|---|
| 1. 採用マーケティングの有効性 | 有効。もらった数字が事実なら、投資判断としてやらない理由がない。ただし第一歩はその数字の検証 |
| 2. 最初に作るべきもの | どの施策でもなくPhase 0の現状分解。制作物では採用ピッチ資料が先 |
| 3. 主力チャネル | BizReach+リファラルが主軸、LinkedInはC層・外資向けに併用。Metaなどの運用型広告は主力にはならないが、潜在層への認知やリターゲティングの補助としては選択肢に残る |
| 4. 刺さる訴求軸 | 旗はA層×「技術者の次のキャリア」の1本。スカウト文面と面談導線は層別に出し分け |
| 5. 現実的な数値 | 立ち上げ期は月1〜2名、噛み合って月2〜4名。半年で月3〜5名の置き換え |
| 6. 外部支援の範囲 | 費用対効果が最も高いのはPhase 0+Phase 1(分解とコンセプト・受け皿)。スカウト運用は内製・外注どちらも可 |
可能性は十分です。ただし最初にやるべきは媒体契約でもLP制作でもなく、1億円の分解です。Phase 0で挙げたデータが揃うなら、見立てはすぐ返せます。